ロータス・エスプリのクラッチのシャフト交換

Owner:k氏
Report:k氏
2006/03


エスプリは、ブレーキキャリパー、ローター、EXサイレンサー、セルモーター、ドライブシャフト、シフトリンケージ、クロスメンバー、配管類、他を外すとミッション&ベルアッシーで取り出せる。

 

 

オイルパンとベルハウジング間下2カ所にシムが挟み込んである。オイルパンの刻印が000の場合、シムは無し。

クラッチ、フライホイールを外す。シトロエンミッションの場合、パイロットブッシュではなくニードルベアリングが使われている(ルノーミッションはアンギュラボールベアリング)。

 

前方に跳びだしたクラッチシャフトはクランクとツラ位置のはずのニードルベアリングを押し込み(圧入はかなりキツメであるにもかかわらず)、クランクまでも少し削ってしまった。
クランクのフライホイール取り付けボルト穴はエンジン内に貫通している。組み付け時、ネジロック等でのシールが必要。

 

クランクリヤカバーは、外してシール替えてパッキン替えて、そのまま周囲の取り付けスクリューを締めてもセンターが出ない。締め付け時、ずれないように押さえつけ、少しずつ対角締め。クランクシールの内側には「スプレーシールド」というプレートが付いている。このあたり、国産エンジンとは少し様子が異なる。

 

左右サイドフランジ外すとをベルハウジングとミッションケースが分離できる。ミッションのマウントレッグはサイドフランジに取り付けられている。この状態でデファレンシャルが取り出せる。

 このエスプリはサイドベアリングが通常では考えられないほどに異常摩耗していて、デフ本体がガタガタ動く。またスラストアジャストシムには回転跡まである。実はサイドフランジ分解時、パッキンが入っていなかった。これが原因で、ベアリングに多大なイニシャルロードが掛かってローラーが摩耗したのだろうか。パッキンを入れ、ベアリングを交換してみるとバックラッシュ、ベアリングロードは適正になった。サイドベアリングは左右共に30208、某ロータスパーツ屋で1個¥18,000(NTN製)、近所のベアリング商で¥900。

こちらはミッション側。国産とは違いインプットシャフトが2分割されている。ミッション汎用性のためか? プライマリーシャフトとクラッチシャフトはスプラインで接続され、エンドスラスト防止のためだろうか、中にスプリングが入っている。

 クラッチシャフトは常にこのスプリング(O)で押された状態。これを止めているのがクリップ(J)。このシャフト接続部までがベルハウジング室。元々グリス塗って無かったのか、乾いてしまったのか中はサビサビ。かろうじてクリップ(J)が効いているのか、とりあえず引っ張っても抜けない。

クラッチシャフト前端はスピゴット・ニードルベアリング(A)のインナーレースにあたるスリーブが圧入されている(このスリーブは数度アップデートされた)。(B)のスラストワッシャは黒いプラスティック(ナイロン)製。スピゴットベアリングは1512ニードルベアリング(近所のベアリング屋で¥320)。小加工で出来る良い対策が思い浮かばず、とりあえずリップ付きのニードルベアリングを使い、たっぷりとグリスを封入しておいた。シャフトが入ると溢れ出るだろうが、遠心力で飛散してもこの程度でクラッチが滑ることは無いだろう。サービスノートには組み付け時、オイルを薄く塗れなどと書いてある。 このあたりがシトロエンミッション、エスプリの定番トラブルのひとつ。

使用可能なニードルベアリングとしてストックの1512の他に候補が3種。今度は押し込まれないようにスペーサーカラー(H)を製作し入れた。内側にネジが切ってあり取り外しはこのカラーごとベアリングを引き抜く。1522だとプーラー使用不可能、取り外しはベアリングを破壊しなければならない。

スプラインのサビを洗い流し、クラッチシャフトを交換。サポートチューブ内スプライン部にこれでもかというぐらいにウレアグリスを入れておいた。

ピニオンギヤの反回転側(エンジンブレーキでの負荷面)の数カ所が少し虫食い状態。

デフケースのスラストがたが原因か?ギヤの焼き入れ深さが0.5以上あることにして、今回はそのまま組む(現在ファイナルギヤセットのリプレイス品が入手可能らしいが、あまりにも高価、50万円?、確か97~98年ごろは米の某有名部品屋で10~12万円位だったはず)。リングギヤ側は特に損傷は無いように見える。

  

 クラッチは昔の国産レースカーで馴染みののB&B製。画像では国産汎用センター出しツールだが、当然、外したクラッチシャフトでも代用可能。レリーズベアリングも国産とは違いアンギュラベアリングのみの交換ができない。組み立てアッシーでの部品供給だが精度はもうふたつ。今回取り外した物を含めて3個持っているが、ベアリングフェイスはどれもスリーブに対してセンター、垂直共に0.3~0.5ほどずれている。

拡大 ナイロンスラストワッシャをクラッチシャフトにセット(グリスを塗り張り付かせる)。このスラストワッシャを落とさないためにもミッションはクラッチセンター目がけて真っ直ぐに、絶対後ろ側に戻さないようにしてエンジンと合体。

今回調達した部品

 

※本作業・データ・その他において、参考による改造及び改良は自由ですが、それによって発生したいかなる事故や問題・不利益等に関しては一切の責任を負いません。全て自己責任でお願いいたします。

 

←Garage_life のトップに戻ります