ロータス・ヨーロッパのリヤハブの改良(左リアのナットの緩み)
Lotus,jps,club 会長 戎 和夫
ヨーロッパの激しい走りの後でナットの緩みを確認する事から開放されたい、リアの異音など気にせず走りたい。
今回はアウタードライブシャフトに加工を施し、ヨーロッパのアキレス腱である左リアのナットの緩みから起こるシャフトのスプラインとハブの粉砕を解消し長時間のトラブル防止につながれば、そんな願いから今回の作業に取り掛かった。
まずドライブシャフトのスプラインの部分にメッキ処理を施し、厚さ0.04ミリの肉厚を盛る事でハブとのクリアランスを最小限に抑えた。左のリァのドライブシャフトを逆ネジに加工する為、18ミリの経を16ミリに変更し、1.5Pでタップを切る。右も同様に経とタップを変更。ナットももちろん逆ネジで製作。締めつけトルクの掛かる場所だけに素材も(SCM435)調質硬度の素材で作製した。
ベアリングの中央に入るベアリングスペーサー(左写真の右下)も重要なパーツだ。長さを点検し、片寄った負荷がベアリングに掛からぬ様に注意したい。前回のレポートで削れていたスペーサー(左写真の右上)もS45Cの素材に焼きを入れ、強度な物を作製した。
各パーツを点検し、気付いた事はアップライトとラジアスアームの結合部分のタップが飛んでいる。 えーーい、ここまで来たらついでにあれも、これも、、、。
ブッシュ類も交換、ユニバーサルジョイントも洗浄、ベァリングの点検、グリスアップなどなど細かい作業だが組み上がりが楽しみだ。
サンドブラストが無いので剥離剤で塗装を落とし洗浄、塗装の終わったパ―ツ
前オーナーがベアリングを外す為に金づちで何度も叩いた後が……下左の画像。
(豆知識)
アップライトからベアリングを取り外す時、熱湯に数分つければアルミが膨張し簡単にベアリングが外せます。
叩いて良いのはユニバーサルジョイントなどのキャップを外す時。ロールピンをニップルで外し、金づちでシャフトの図の部分を叩くと抜けます。実は板金塗装業の友人から教わりました。スキ物の友人には恵まれますが肝心の家族からはだんだん見放されて行きますね。毎日仕事が終わってからの作業、汚れた手をして夜中に冷めた晩飯を食べる姿を見て、嫁が一言『茶碗、汚れるな…』
【アップライトに新品のベァリング、オイルリターン・フリンガ―をシール剤で固定する】
アップライトは8ミリを10ミリに変更、新たに2.5Pでタップを切る。ボルトを変更するのだが注意点はブレーキシユウのリターンスブリングとのクリアランスが非常に狭い為、低頭ボルトをさらに旋盤で加工し取り付ける。(強度が心配ですが…)
【リターンスプリングを避けるため六角穴開きボルトを使用、作業はほぼ終了である。】
ドライブシャフト側もノーマルでもクリアランスは2~3ミリ程度、こちらもボルトのサイズが1ランク大きくなったのでステンの低頭ボルトをさらに低頭に削る。(もちろんスパナやメガネレンチなどが掛かるだけの肉厚は残してます)
後はこのヨーロッパで以前よりハードな走行をした後、神経質になる必要が無くなれば幸いなのだが… ハブを改良し、試乗した感じは明らかに以前よりシャキッとした感が有る。もちろんシュシュシュシュと言ういやな音も無くなっている。この状態でヨーロッパの弱点であるリアハブのメンテナンスの必要が無くなるのか、同じタイミングでメンテナンスしなければならないのか… 長期的にレポートし報告したいと思います。